先日営業開始した南海電気鉄道(新)8000系電車。
既に、ファンの間で物議をかもす車両となっています。
話題の焦点は、関西に関東風味のデザインの車両がやってきたこと。
続きの部分で、写真をまじえて私見を書いてみます。
以下は、試乗会に参加させていただいた時の写真です。
先頭部分の形は完全なオリジナルです。
側面を見ると、首都圏の方なら「どこかで見たような」と思われるかもしれません。
四隅がゆったり丸く処理された窓や、扉の窓周りの処理(※1)は、関東の多くの鉄道車両で採用されているものです。
(画像クリックで横1600ピクセルの大判画像表示・一部加工:約259kB)
室内のデザインは、一見すると関東のJR車両と区別がつかないほどです。多くの内装部品のデザインが共用されています。
ステンレスの地肌が出ている扉や、むき出しの蛍光灯は、関西ではほとんど例がありませんでした。こうしたところや外側の車体側面の作り込みが、無味乾燥なデザインとして、物議をかもしているんですね。
でもこだわりが見て取れたりもしました。このタイプの窓枠にカーテンが付いているのは、初めて見ました。上の写真で、カーテンの溝があるのがお分かりいただけると思います。
私自身、関東の共通仕様(※2)のデザインには疑問を感じる部分があります。例えばむき出しの蛍光灯はデザインとして失格だと思っていますし、扉の外側も安っぽく凹ませずに複層ガラスで厚さを稼げば、曇らず素敵だと思ったりもします(※3)。でも、手摺りの多さ・椅子の脇の大きな仕切り板など、ラッシュを意識した造りは合理的でいいとも思います。
そして、この賛否両論ある共通仕様デザインですが、基本設計を共通化してコストダウンできる点は評価されなければなりません。低コストだからこそ新車が造れたケースもありますし、それが安全にもつながりますからね。
※1...車内での指の引き込み防止のために、車内側の窓ガラス周辺の突起をなくす目的で、車外側の板をプレスで凹ませています。
※2...日本鉄道車両工業会が定めた「通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン」。関東仕様ではなく、当初から全国仕様にしたい意向のようです。
※3...このドアガラスについては、中央線ほかに投入されているE233系電車など、一部の車両で改善されています。
蛇足:まもなく完成する関西某社の新型車両に関して、「蛍光灯カバーだけはなくさないように」と裏ルートで伝えたりもしましたが、どうなっているでしょうね。
2008年3月23日 00:28 カテゴリー:写真