とうとう流行り始めました、新型インフルエンザ。
渦中の神戸でマスクして通勤してますが、空気が重いです。
いつもの半分近い乗客数。車内はとても静かで、話し声はおろか、咳やくしゃみもまったく聞こえません。のんびりできない空気に満ちてます。
今回は、新型インフルエンザへの対処体制について調べてみましたので、そのことを書いてみます。
いったい、どんな対処がなされようとしているのか。公式情報をもとにまとめました。
新型インフルエンザについては、以下のページが詳しいです。
「新型インフルエンザ対策関連情報」(厚生労働省)
新型インフルエンザ関係の告示には様々なものがありますが、片手間で読むには種類・量ともに多過ぎます。
「新型インフルエンザ対策行動計画」というものが、現時点においては一番まとまった内容なのですが、以下のように現状にそぐわない面があり、これを補うために「基本的対処方針」や「確認事項」といったものが、5月16日までに決定されています。
・「新型インフルエンザ対策行動計画」や「新型インフルエンザ対策ガイドライン」
→鳥インフルエンザなど、強毒性の新型インフルエンザを想定。
・「基本的対処方針」や「確認事項」
→今回の新型インフルエンザが対象。
鳥インフルエンザより毒性が低いことを考慮している。
国内での感染が進めば、別の内容が定められる。
そこで、軽くまとめてみました。
「新型インフルエンザ対策行動計画」で定められた項目が、「基本的対処方針」や「確認事項」でどう緩和されているのか。
それを示す表を作ってみました。
ただし、これらの告示は明確な対応関係にはありませんので、以下の表の内容は、若干違う解釈ができる余地もあります。また、投稿時現在の情報をもとにしているため、告示内容は変わっていくことと思います。その点をご了承のうえでご覧願います。
【凡例】 | |
● | 2009年5月16日「確認事項」で実施するもの |
○ | ●以外で、2009年5月16日までに決定した「基本的対処方針」で実施の可能性があるもの |
× | 第二段階までの項目のうち、「確認事項」「基本的対処方針」に定めがないもの |
・ | 第三段階以降の項目のうち「確認事項」「基本的対処方針」では読み取れないもの |
【前段階】未発生期 | |
× | 事業継続計画等の策定(行政機関・事業者等) |
● | 感染防止等の情報提供・共有 |
● | サーベイランス(調査監視システム)の体制整備 |
× | ワクチン(プレパンデミックワクチン・パンデミックワクチン)接種体制の構築 |
● | ワクチン製造・供給体制の整備 |
● | プレパンデミックワクチン・抗インフルエンザ薬の備蓄 |
● | 医療体制等の整備 |
× | 家禽の防疫対策 |
● | 国際機関・主要先進国と連携して情報収集・調査研究 |
× | 多発国への協力・支援 |
【第一段階】海外発生期 | |
● | 発生国に滞在する邦人への情報伝達・支援 |
× | 発生国への渡航・運航自粛 |
● | 検疫地点の集約、発生国からの入国者への停留・健康監視強化 |
● | 発生国からの外国人の入国制限 |
● | サーベイランスの強化 |
× | プレパンデミックワクチン接種検討、場合によっては接種開始 |
● | パンデミックワクチン開発・製造の開始 |
● | 国民への情報提供(相談窓口開設等) |
○ | 事業者への要請(感染防止策、業務継続・自粛の準備) |
【第二段階】国内発生早期 | |
○ | 患者への入院措置・抗インフルエンザ薬の投与 |
● | 積極的疫学調査...接触者の外出自粛・抗インフルエンザ薬の予防投与・健康観察 |
× | ウイルス封じ込めの可否判断(地域住民への予防投与・移動制限) |
● | 発生地域の公衆衛生対策(学校等の臨時休業、集会・外出の自粛要請、個人防護の徹底) |
● | パンデミックワクチンの製造を進める |
○ | 全国の事業者への要請(感染防止策、不要不急の業務縮小) |
● | 社会機能の維持に関わる事業者への、事業継続に向けた取組の要請 |
【第三段階】感染拡大期/まん延期/回復期 | |
(各期共通) | |
○ | 住民(とくに社会的弱者)への支援強化 |
・ | パンデミックワクチンの接種 |
○ | 予防投与の必要性の有無の検討(行わないようにする) |
・ | 場合によっては、入国時の検疫の縮小 |
(感染拡大期) | |
○ | 受診医療機関の限定、患者の指定医療機関への入院 |
(まん延期) | |
○ | 軽症者は自宅療養とする |
・ | 予防投与の縮小 |
・ | 全入院医療機関での重症者受け入れ |
・ | 死亡者の円滑な埋火葬 |
(回復期) | |
・ | 公衆衛生対策の縮小 |
【第四段階】小康期 | |
・ | 実施した対策への評価 |
・ | 次の流行に備えた対策の検討・実施 |
・ | 資器材、医薬品等の調達及び再配備 |
※ワクチンの製造については、「確認事項」「基本的対処方針」とも、明文化はされていません。 |
まとめると、強毒性の新型インフルエンザの場合と比較して行わないものは、以下のとおりです。
・接種
・渡航自粛
・地域集団の移動制限
・事業者の事業継続計画の策定(事業自粛は要請の可能性あり)
・家禽の防疫
・多発国への協力
感染拡大が進んだ第三段階以降の措置内容は、今後の決定による部分が大きいので、注意が必要です。
「社会・経済を破綻に至らせない」ことが目的の一つとして書かれているので、感染拡大については「可能な限り抑制」という表現にとどまっています。
こうした部分から、事態の深刻度を読み取るのがよいかと思います。
今回の件に関しては、一番怖いのは病気自体ではなく、必要以上に深刻になってパニックに陥ることだというのが、私の所感です。
2009年5月19日 21:30 カテゴリー:雑記