第610回:インフルエンザ

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第610回:インフルエンザ

 とうとう流行り始めました、新型インフルエンザ。

 渦中の神戸でマスクして通勤してますが、空気が重いです。

 いつもの半分近い乗客数。車内はとても静かで、話し声はおろか、咳やくしゃみもまったく聞こえません。のんびりできない空気に満ちてます。

 今回は、新型インフルエンザへの対処体制について調べてみましたので、そのことを書いてみます。

 いったい、どんな対処がなされようとしているのか。公式情報をもとにまとめました。

 新型インフルエンザについては、以下のページが詳しいです。

 「新型インフルエンザ対策関連情報」(厚生労働省)

 新型インフルエンザ関係の告示には様々なものがありますが、片手間で読むには種類・量ともに多過ぎます。

 「新型インフルエンザ対策行動計画」というものが、現時点においては一番まとまった内容なのですが、以下のように現状にそぐわない面があり、これを補うために「基本的対処方針」や「確認事項」といったものが、5月16日までに決定されています。

・「新型インフルエンザ対策行動計画」や「新型インフルエンザ対策ガイドライン」

 →鳥インフルエンザなど、強毒性の新型インフルエンザを想定。

・「基本的対処方針」や「確認事項」

 →今回の新型インフルエンザが対象。

  鳥インフルエンザより毒性が低いことを考慮している。

  国内での感染が進めば、別の内容が定められる。

 そこで、軽くまとめてみました。

 「新型インフルエンザ対策行動計画」で定められた項目が、「基本的対処方針」や「確認事項」でどう緩和されているのか。

 それを示す表を作ってみました。

 ただし、これらの告示は明確な対応関係にはありませんので、以下の表の内容は、若干違う解釈ができる余地もあります。また、投稿時現在の情報をもとにしているため、告示内容は変わっていくことと思います。その点をご了承のうえでご覧願います。

【凡例】
2009年5月16日「確認事項」で実施するもの
●以外で、2009年5月16日までに決定した「基本的対処方針」で実施の可能性があるもの
×第二段階までの項目のうち、「確認事項」「基本的対処方針」に定めがないもの
第三段階以降の項目のうち「確認事項」「基本的対処方針」では読み取れないもの
【前段階】未発生期
×事業継続計画等の策定(行政機関・事業者等)
感染防止等の情報提供・共有
サーベイランス(調査監視システム)の体制整備
×ワクチン(プレパンデミックワクチン・パンデミックワクチン)接種体制の構築
ワクチン製造・供給体制の整備
プレパンデミックワクチン・抗インフルエンザ薬の備蓄
医療体制等の整備
×家禽の防疫対策
国際機関・主要先進国と連携して情報収集・調査研究
×多発国への協力・支援
【第一段階】海外発生期
発生国に滞在する邦人への情報伝達・支援
×発生国への渡航・運航自粛
検疫地点の集約、発生国からの入国者への停留・健康監視強化
発生国からの外国人の入国制限
サーベイランスの強化
×プレパンデミックワクチン接種検討、場合によっては接種開始
パンデミックワクチン開発・製造の開始
国民への情報提供(相談窓口開設等)
事業者への要請(感染防止策、業務継続・自粛の準備)
【第二段階】国内発生早期
患者への入院措置・抗インフルエンザ薬の投与
積極的疫学調査...接触者の外出自粛・抗インフルエンザ薬の予防投与・健康観察
×ウイルス封じ込めの可否判断(地域住民への予防投与・移動制限)
発生地域の公衆衛生対策(学校等の臨時休業、集会・外出の自粛要請、個人防護の徹底)
パンデミックワクチンの製造を進める
全国の事業者への要請(感染防止策、不要不急の業務縮小)
社会機能の維持に関わる事業者への、事業継続に向けた取組の要請
【第三段階】感染拡大期/まん延期/回復期
(各期共通)
住民(とくに社会的弱者)への支援強化
パンデミックワクチンの接種
予防投与の必要性の有無の検討(行わないようにする)
場合によっては、入国時の検疫の縮小
(感染拡大期)
受診医療機関の限定、患者の指定医療機関への入院
(まん延期)
軽症者は自宅療養とする
予防投与の縮小
全入院医療機関での重症者受け入れ
死亡者の円滑な埋火葬
(回復期)
公衆衛生対策の縮小
【第四段階】小康期
実施した対策への評価
次の流行に備えた対策の検討・実施
資器材、医薬品等の調達及び再配備
※ワクチンの製造については、「確認事項」「基本的対処方針」とも、明文化はされていません。

 まとめると、強毒性の新型インフルエンザの場合と比較して行わないものは、以下のとおりです。

・接種

・渡航自粛

・地域集団の移動制限

・事業者の事業継続計画の策定(事業自粛は要請の可能性あり)

・家禽の防疫

・多発国への協力

 感染拡大が進んだ第三段階以降の措置内容は、今後の決定による部分が大きいので、注意が必要です。

 「社会・経済を破綻に至らせない」ことが目的の一つとして書かれているので、感染拡大については「可能な限り抑制」という表現にとどまっています。

 こうした部分から、事態の深刻度を読み取るのがよいかと思います。

 今回の件に関しては、一番怖いのは病気自体ではなく、必要以上に深刻になってパニックに陥ることだというのが、私の所感です。

2009年5月19日 21:30 カテゴリー:雑記

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