5) フォルテンガイム連合王国(4)

ウィスクダール王国

概要

 エーベルハルト達とともに流浪の民を率いた名弓手、ハイジーア・ウェンドーバーが興した国です。

 連合王国で最大の国土を持つ構成国です。

 ただ、その国土の多くは湿地帯で、産業には適していません。

 残りの国土の多くを占める森林地帯での林業が、主要産業となっています。

 遠くない過去にクーデターがあり、一時ウェンドーバー王家は失脚しています。

 クーデターの首謀者、イーライ・バーンレイにより、圧制がしかれて国は荒廃しましたが、現フェルバラード王バートラム・現アランティス王エリックが中心となって彼の体制を撃破し、現王シンクレア・ウェンドーバーを復位させました。

 以後は、急速に国力を回復させつつあります。

ウィスクダール王国の地図

町の解説
ウィスクダリア

 海岸部の湿地帯近傍に位置する、ウィスクダール王国の首都です。

 広大な港湾施設を持っていますが、クーデターの際に閉鎖されたまま放置が続き、傷みが激しいため、現在は十分に活用されていません。

 ただし修復が進んでいるため、数年のうちには完全に復旧する模様です。

 アルデリア海にあるノーグ島・ブランツ島への船が発着しています。

 首都の防衛には、クーデターの際にレジスタンスとしても活躍した騎士、セイディ・ランサー率いる第10師団があたっています。

アルシャウル

 アランティス王国に最も近い町です。

 首都ウィスクダリアとアランティス王国とを結ぶ街道から分岐して、やや西に位置しています。

 この近隣に広大な森林地帯を擁していて、林業のためにメインルートから外れた場所に立地しています。

リルフィ

 王国の内陸の要となる町です。

 首都ウィスクダリア、北岸のフォートリッツ、アランティス王国、そしてローエルン連合王国の4方面に通じる町で、連合王国では珍しい、街道の交差点に位置する町です。

 「夕映えの騎士団」が駐屯していて、騎士団屈指の機動力を持つ第3師団が、師団長エリオット・ロータムに率いられて活動しています。

トライド

 フェルバラード、ハイ・ダリスの2都市と並び、ローエルン連合王国への玄関口となっている町です。

 宿場町として、昔から旅人を対象とした商いで栄えてきました。

 旅人のもたらす様々な物資で賑わい、小規模ながら活気のある町です。

フォートリッツ

 海洋監視施設のある、海岸部の町です。

 フィノス・セーダ海に面していて、主に気象面の観測を行っています。

 町の一部は断崖の上にあり、そこには灯台も設置されています。

 港はありませんが、沿岸部を行き交う船にとって、重要な地点となっています。

リーラ

 林業を営む、森のそばの小さな町です。

 もとは別の名前の町でしたが、古の出来事にちなんで改称され、今に至ります。

 かつてこの町が、実体を持たない悪魔の襲撃を受けました。実体がないゆえに、人々には戦いようがなく、危機に陥っていました。

 そのとき、町の住人だった少女、リーラ・ライルが、自らの体を生贄として差し出し、悪魔を自らに乗り移らせ、自分ごと封印されることで町の平和を取り戻しました。

 これを悼んで、彼女の名前が町の名となりました。

 今も彼女は、町の一角に封じられ、祭られています。

ディズリア

 エルフィナント山地の麓にある町です。

 主として農業を営んでいますが、エルフィナント山地に開いた大洞窟の管理という、密かな役割もあります。

 この大洞窟は、山地を越えたところにアステル・エイラへと通じていますが、そのあまりの長大さゆえ、そこを抜けるのは困難です。

 そのため、大洞窟の存在自体が秘匿されていて、これを知る者は限られています。

ウェスタリバ

 「川の西側」Westside of the Riverがなまって、この呼ばれ方になりました。

 大峡谷から流れてくる川の河口部西岸にあり、漁業を主に営んでいます。

 また、対岸にあるエクステラ王国のイースタリバと、橋を介しての交流も盛んです。

 知略に長けた「夕映えの騎士団」第13師団長ユリウス・フォン・ガルシュタットが、師団のメンバーとともに駐在しています。

アステル・エイラ

 精霊信仰の4つの町を統べる町「星の翼」です。

 地・水・火・風の四大精霊を統べる「虚空」の精霊をまつっています。

 切り立ったエルフィナント山地と、深い大峡谷とに囲まれた高地にあります。

 町の存在自体は国民に広く知られていますが、そこに到る手段は知らされておらず、秘境として人々の関心を集めています。

 ここに住むのは、「虚空」の精霊をまつる関係者だけで、人口も極端に少ないです。

 異世界である「精霊界」につながっていて、「虚空」の精霊に会うことができると言われていますが、真実は定かではありません。