1) ゲームの概要

 このゲームは、剣と魔法のファンタジー世界での冒険をお楽しみいただくために作りました。

 例えば、囚われの王女を救いに行く騎士の冒険。

 世界の危機を救うための勇者の冒険。

 正体を隠して、人知れず戦う人々の冒険。

 あるいは、日常の小さな出来事のなかでの、ごく普通の人々のささやかな冒険。

 一口に冒険と言っても、とてもその幅は広く、想像力次第で、無限の冒険があると言えましょう。そうした様々な冒険をみんなで味わうために、このゲームを作りました。


 このゲームは、家庭用ゲーム機でお馴染みのRPGの原初の姿とも言うべき、テーブルトークRPGです。

 コンピュータでのRPGは、コンピュータが画面に出す情報に対して、コントローラやキーボードで行動を伝えて進めますが、テーブルトークRPGは、人と人との会話(ネット上では、文字でのやりとり)によって進めます。

 マスターと呼ぶ進行役が用意したシナリオに沿って、プレイヤーと呼ぶ遊び手達は自由に行動を決めて、自らの分身であるキャラクターにその行動をとらせます。

 例えばマスターは、次のように状況を説明します。

マスター

あなた達がいる宿屋に、魔法使い風の男が訪れました。

彼は「ここに冒険者がいると聞いてきた。一つ、仕事を頼みたいのだが」と言っています。

 そしてプレイヤー達は、それに対してどう行動するかを(必要に応じて相談して)決め、マスターに対してキャラクターの行動という形で返します。

 それは例えば、このようなものかもしれません。

キャラクターA

(プレイヤーa)

「私達がその冒険者だ。いったいどのような用向きか」と尋ねます。

もしかしたら、このようなものかもしれません。

キャラクターB

(プレイヤーb)

怪訝そうな顔をして、「あんた誰?」と男に訊いてみます。

キャラクターC

(プレイヤーc)

「世の中、金が全てってね。報酬しだいだよ」と言います。

キャラクターD

(プレイヤーd)

「私は依頼人の顔しだい。ちょっとあなた、よく顔を見せてくれない?」と言ってみます。

 あるいは、このようなものかもしれません。

キャラクターE

(プレイヤーe)

とりあえず我ら一同、黙って遠くから様子を見ておきますね。

なんかちょっとヤバそうな気がしますし。

 このような形でプレイヤーは、実行できる範囲で、思いつく限りの行動をキャラクターにとらせることができるのです。

 そうして、ゲームに参加したメンバー全てが協力し合って(マスターもプレイヤーもです)、冒険を成功へと導いていくのが、このテーブルトークRPGなのです。

 一般的なコンピュータのRPGに比べて、画像や音での表現力では劣るものの、一人でのプレイでは味わえない楽しみがきっとあります。それをぜひ味わっていただきたく、このRPGシステムを紹介します。

 もしこれによって、ご覧くださった皆様にテーブルトークRPGに興味をお持ちいただけて、そしてやがて一緒にゲームが遊べますならば、この上ない幸いです。