8) 平常時用のルール

 ここでは、戦闘時以外に必要となるルールを列挙していきます。

ステータス

 キャラクターがどういう状態なのかを表したものです。

 以下に各ステータスの名称と、それぞれについての解説とを記します。

正常

 以下に記す11のステータスのうち、どれにもなっていない状態です。

 制約はありません。

催眠

 戦闘中のみのステータスで、回避率が0%になり、行動不能になります。

 ターンの最初ごとにこのステータスを正常化するため、つまり目覚めるための3Vチェックを行えますし、ダメージを受けるか戦闘が終わるかすると、無条件で正常化します。

 なお、呪文や気付け薬で、これを正常化することもできます。

 

恐怖

 戦闘中のみのステータスで、基本命中率、回避率にそれぞれ-50%のペナルティがつきますが、行動はとれます。

 ターンの最初ごとに、このステータスを正常化するための3Mチェックを行えますし、呪文でも回復可能です。

 また、戦闘が終わると無条件で回復します。

魅了

 戦闘中のみのステータスで、攻撃行動をとれなくなります。(パラメータは一切変わりません)

 回復方法は「恐怖」と同じです。

混乱

 戦闘中のみのステータスで、敵味方の区別がつかなくなり、一番近くにいる者を攻撃します(一番近くにいる者が複数いる場合は、ダイスを適当に使って目標を決定します)。

 回復方法は「恐怖」の場合と同じです。

麻痺

 基本的に「催眠」と同じですが、これを正常化するためのチェックはありません。

 回復薬を使うか、麻痺から回復させるための呪文を使わない限り、戦闘が終わっても回復しません。

 戦闘中は1ターン、平常時は1分ごとに、HPが1ずつ下がっていき、HPが0になると「昏睡」のステータスを加え、さらにHPが下がると「昏睡」を「死亡」に変えなければなりません。

 解毒剤か解毒の呪文を使わなければ、永久に回復することはありません。

石化

 体が石になっている状態です。

 基本特に「麻痺」と同じですが、この状態から回復させる薬は存在しません。

 石化解除の呪文を使わなければ、永久に回復しません。

呪詛

 「じゅそ」と読みます。

 呪いのかかったアイテムを装備して、呪いが発動して呪いにかかった状態です。

 (装備とは、ただ持っているだけではなく、いつでも使える状態にすることを指します。アイテムを使うためには装備することが必要です。例えば剣なら腰や背に吊り、防具や装飾品なら身につけることが装備になります。なお、装備しないうちから呪いの発動するアイテムはありません)

 呪いのアイテムを1つ装備するごとに、全回避値が半分になります(特性値など、他のパラメータには影響はありません)。

 解呪の呪文を使うか、特殊能力で解呪を行うかしなければ、永久に回復しません。

昏睡

 HPが0になった状態です。

 HPが正のときに大きなダメージを受けて、一気にHPが負になったときも、HPをいったん0に戻してこのステータスにします。

 傷薬か治療の呪文を使うことでこのステータスは正常化しますし、1日たてば、無条件でHPが1になって回復します。

死亡

 「昏睡」のときにさらにダメージを受けると、「昏睡」がこのステータスに変わります。

 やはりHPは0として扱います。

 もちろん、何日たってもHPは回復しません。

 蘇生の呪文を使わない限り、このステータスは正常化しません。

根絶

 魂の宿るべき肉体が失われた状態です。

 HPは0で、このときには他のステータスは解除されますが、通常の治療は効果を持ちません。

 超上級魔術に、復活の呪文があるという噂ですが、その実態を知る者はほとんどいません。

 これらのステータスは、「正常」「根絶」以外、同時に複数存在することもあります。(「催眠」と「麻痺」など。ただし「死亡」は、戦闘中のみのステータスや「昏睡」とは、同時には存在しません)

 また、ステータスの正常化のためのチェックは1種類につき1回ずつ行います。(例:「恐怖」と「魅了」とがあるなら、それぞれの3Mチェックを1回ずつ行います)

 キャラクター・シートの「ステータス」欄に、その時点でのステータスをメモするようにしてください。

平常時用の特殊能力

 人間タイプのキャラクターの平常時用の特殊能力には、解呪・鑑定・罠判別・罠解除・偵察があります。

 それぞれの成功率は、キャラクター・シートの特殊能力欄の数値です。

 以下、それぞれについての解説を記します。

 なお、これらはダイス目が10以下でも自動的成功とはなりません。

解呪

ステータスが「呪詛」の者に対して使います。

成功すれば、その者が装備している呪いのアイテムを全て消し去ります。

失敗したら何も起こりません。

鑑定

正体不明のアイテム1点に対して行います。

成功すると、そのアイテムの名前や能力が分かります。

失敗すると何も分かりません。

罠判別

鍵や罠があるかどうかや、罠がどんな種類のものなのかを調べます。

成功すれば罠の有無と、罠があればその種類を知ることができます。

失敗すると何も分かりません。

ただし、チェックの際のダイス目が91以上なら、マスターは罠の有無および罠の種類を偽って教えます(罠の種類については後述します)。

罠解除

鍵および罠を外そうとします。

例えば「鍵と毒針の罠を解除する」という具合に解除を試みる者が宣言して、それからチェックを行います。

チェックに成功したら鍵や罠は、一度に外れます。ただしこれは、正しい種類の罠を指定した場合に限ります。

鍵があるのに罠しか解除しなかった場合は鍵は開きませんし、罠の指定を間違えると罠が作動します(罠がなかった場合は、もちろん何も起こりません)。

また、魔法の鍵は解除できません。

偵察

単独行動をとって、離れた場所(半径100m以内)の様子を探ろうとします。

チェックは2回行い、1回目で失敗した場合は偵察自体に失敗し、何も分かりません。

2回目で失敗すると様子は分かりますが、敵がいたら偵察に気付かれます。

3回成功すれば完全に成功です。

鍵と罠

 扉や宝籍には、鍵や罠が仕掛けられている場合があります。

 鍵がかかっているときは、解錠しなければ扉や宝箱は開きませんし、罠を鰐除せずにそれらを開けてしまうと罠が作動してしまいます。

 解除のためのチェックは、前項「平常時用の特殊能力」の「罠判別」・「罠解除」を参照してください。

 ここでは、主な鍵と罠との種類を説明します。

通常の鍵

「罠解除」のチェックを行うか、専用の鍵を使うか、あるいは解錠の呪文を唱えると解錠できます。

魔法の鍵

呪文のかかった鍵です。

専用の鍵を使うか、その呪文をかけた術者よりもレベルの高い術者が解錠の呪文を唱えるかしなければ開きません。

なお、「Dispel Magic」の呪文は効きません。

爆発

開けた途端に、扉や宝箱が爆発して吹っ飛びます。

半径5m以内にいる者に1D100のダメージ(3Aチェックに成功すればダメージ半減)を与えます。

ちなみに宝箱の場合、中に壊れやすいもの(瓶など)が入っていたら、その物品は壊れてしまいます。

毒針

この罠が作動すると、開けた者は5Vチェックを行い、失敗するとステータスに「毒」を加えます。

ガス

麻痺・毒・石化の3種類があります。(それぞれ、麻痺性ガス・毒ガス・石化ガスといいます)

この罠が作動したら、半径5m以内にいる者は、1人ずつ5Vチェックを行い、失敗した者はガスの種類に応じてステータスが変わります。

年齢

 キャラクターは50才までに寿命が来て死んでしまうことはありませんが、51才になってからは、歳をとるごとに50-(年齢)%を成功率として1D100でチェックを行い、失敗したら死んでしまいます。(ただし、ダイスの目が10以下なら、無条件で成功です)

重量制限

 所持品の総重量(単位kg)の値が筋力の値を超えてしまった場合は、超えた分(小数点以下は切り捨て)だけ敏捷度を減らさなければなりません。(命中率修正などにも影響か出ます)

 敏捷度が0になるとそのキャラクターは動けなくなります。(戦闘中にも行動できません)

 また、敏捷度の値が負になるほど物は持てません。

 一方、所持品を減らせばいつでも、減らした分だけこのペナルティは緩和されます。

睡眠

 1日あたり、最低でも連続した6時間以上の睡眠時間が必要です。

 それだけの睡眠時間をとると、目覚めた時点でHP・MPが全快します。

 しかし、1日あたりの睡眠時間がこれに満たない場合、HPもMP回復せず、睡眠時間が足りない日が1日続くごとにMの値とVの値とを1ずつ減らしていかなければなりません。(特性値など、他のパラメータには影響はありません)

 MかVかのどちらか一方でも0になると、そのキャラクターのステータスは「昏睡」となり、もし負になると死亡してしまいます。

 ただし、1日でも十分な睡眠をとれば、MもVも元の値に戻ります。

 宿屋などに泊まれば睡眠が妨げられることはあまりないでしょうが、野宿をしたら敵の出現によって起こされることになるかもしれません。

 寝込みを襲われた場合の戦闘は、PC側の全員(ステータスには「催眠」を追加)が3Vチェックを行って、成功した者のみ目覚めて、通常と同じように戦闘に入ります。(敵の寝込みを襲う場合は、立場が逆になります)

食事

 食事は、回数は問いませんが、1日分の量を毎日食べることが必要です。

 食事量がそれに満たないと、翌日、Vを1減らさなければなりません(特性値など、他のパラメータには影響はありません)。

 食事量が不十分な状態が1日続くごとに、このペナルティは1ずつ加算されていき、Vが0になるとそのキャラクターのステータスは「昏睡」となり、0になると死亡してしまいます。ただし、1日でも十分な量の食事をとると、その時点でこのペナルティはなくなります。

町や村の施設

 町や村の中には、次のような施設があります。

 その国の統治者が住むところです。

 王族と関係を持てば出入りできるようになります。

 各国の首都にあります。

ギルド

 同業者の組合です。

 普通は首都に本部があり、一部の他の町に支部があります。

 冒険者は、冒険者ギルドと、自分のクラスのギルド(ソーサラーギルドなど)に所属していなければならず、それぞれに一年あたり100ゴールドを納めなければなりません。

 魔術や流儀などは、クラスのギルドに所属して初めて習得できるようになります。

 また、PCに対して、様々な情報や冒険の材料を提供することがあります。

寺院

 神聖魔術を使うクラスのギルドが共同で設立した機関です。

 たいていの町にあって、お金を払えば治療や蘇生を行います(ただし、寺院が蘇生を行うことを知る者は、ほとんどいません)。

 それらの代金は、以下のとおりです。

 麻痺の回復……100ゴールド

 解毒……200ゴールド

 石化解除……300ゴールド

 解呪……400ゴールド

 蘇生(HP全快、呪詛・根絶以外のステータス正常化)……1,000ゴールド

病院

 寺院に付属した施設で、傷の治療を行っています。

 10ゴールドでRecoveryの呪文に相当する治療を、100ゴールドでHPを全快する治療を行います。

 また、包帯、傷薬も売っています。

銀行

 お金を保管する所です。

 我々の時代の銀行と違って、1年あたり50ゴールドの手数料を取られます。

 大きな町にあって、預けたお金は、その国の中のどの銀行からも引き出せます。

宿屋

 全ての町や村にあります。

 宿泊科は1泊2食付きで5~100ゴールドです。

 寝室が2階にあって、1階は食堂か酒場になっていることが多いようです。

酒場

 ほとんど全ての町や村にあって、情報交換の場としても機能しています。

 酒代は1杯あたり5~10ゴールドです。

 ここで冒険のきっかけを掴むことも、よくあります。

武器屋

 武器や防具を扱っている店です。

 たいていの町や村にあります。

 商品は「9)武器解説」にある武器データ表「10)防具解説」にある防具データ表に書かれたものが主体ですが、その全てを売っているわけではありません。

 なお、ここでは値引き交渉(後述)ができます。

 また、キャラクターの持ち物を、基本的に市価の半額で買い取ります。

道具屋

 武器・防具以外の、いわゆるアイテムを扱っている店です。

 ほとんど全ての町や村にあります。

 商品は「11)アイテム解説」にあるアイテムデータ表に書かれたものが主体ですが、その全てを売っているわけではありません。

 ここでも値引き交渉ができ、また、キャラクターの持ち物を基本的に市価の半額で買い取ります。

値引き交渉

 武器屋や道具屋では、値引きのための交渉を行うことができます。

 交渉を行う場合、(交渉する者のFを何倍かしたもの)+(交渉率修正)が成功率になり、交渉を行う者が1D100でチェックします。(Fにかける数が大きいほど、交渉が簡単になります。また、交渉を行う者は1人に限られます)

 1回交渉に成功するごとに、定価の1割分価格が下がり、1回失敗するごとに定価の1割分価格が上がります。

 ただし、一度上がった価格は下がりませんし、交渉できる回数は5回までです。

 また、誰かが交渉を行ってから、また出直して交渉することはできません。

 その日の間は、価格は交渉した結果の価格に固定されます。

 ただし、次の日になれば価格は元に戻り、再び交渉できるようになります。

クラスチェンジ

 キャラクターはクラスの変更が可能です。

 以下、クラスチェンジのための条件と、クラスチェンジの方法とを記します。

条件

 自分の属性に合ったクラスに変わることが、絶対の条件です。

 初級クラスに変わる際には、それ以外の条件はありませんが、上級クラスに変わる際には、特定の特性値が80以上に達していることが必要です。

 キャラクターを作製した時点でこの条件を満たしている場合、クラスチェンジの作業をしたうえで、上級クラスのキャラクターとしてスタートすることもできますが、キャラクター作製の時点で別の初級クラスに変わることはできません。(NPCを除きます)

方法

 まず、キャラクター・シートのクラス欄を書き換えてください。

 次に各回避値を半分にして、作製時と同様にして特性値、修正などを書き直してください。技能値は変わりません。

 移動力・攻撃回数以外の特殊能力は、今までの値などを固定しておき、以後その数値を上回ることがない限り、変えないでください。(例えばLが4のドルイドが他のクラスに変わった場合、偵察能力は16%で止まり、以後Lが17になると偵察能力が17%となって今までの能力を上回ります)

 移動力・攻撃回数は、チェンジの前か後かに+1のボーナスがある場合のみ、それを加えます。それ以外ならそれぞれ(敏捷度)÷50+2、(敏捷度)÷50+1です。

 あとは、上昇値を新しいクラスに応じたのものに変えれば終了です。

独自の技、術の開発

 プレイヤーは、独自の技や術を作りたいと思ったら、いつでもその開発を開始できます。

 ただし、開発には相当な期間が必要です。

 マスターは、プレイヤーが作ろうとしている技や術の威力や、開発期間中のキャラクターの行動(開発に専念するのか冒険にも出るのかなど)に応じて、1D3か月~2D10年の開発期間を設定してください。(もちろん、無茶な技や術は却下して構いません)

 なお、同時期に複数の技や術の開発はできません。

 また、他者が既に開発している独自の技や術を習得する場合には、開発期間よりも短めの習得期間をマスターが設定してください。(流儀や「12)呪文解説」にある呪文一覧表に書かれた呪文は、クラス・レベルにのみ依存するものですので、この方法では習得できません)

経験値の付与

 経験値は、戦闘だけで入るのではなく、むしろ戦闘以外で入る方が多くなります。

 まず、一番大きなウェイトを占めるのが、シナリオ終了ボーナスと呼ばれるものです。

 1回のセッションでのシナリオ終了ボーナスは、これを戦闘による経験値に足すことで、ちょうど1レベルアップするくらいの量が適当です。

 そして、そのほかにも経験値ボーナスやペナルティがあります。

 これはキャラクターの働きに応じて与えられるもので、すばらしい発想や活躍を見せたキャラクターにはマスターの裁量で経験値が与えられ、逆に他のメンバーのプレイの妨げとなるような行動をとったキャラクターにはマスターの裁量でシナリオ終了ボーナスが差し引かれて与えられるというものです。